2008年9月27日

バフェットの効率的市場仮説、短期投資に関して

この「サブプライム危機」と呼ばれるアメリカ発の住宅ローン債務の証券化に無理が祟った不況にはいってから、なんだかバリュー投資の話を読み返すことが多い。実際、最初にバリュー投資に出会ったのは2004年ごろ。中国株がもてはやされ始め、「貯蓄から投資へ」が形になり始めていた頃かなと思う。実際、その頃から投資を始めた私としては、大きなお金も無かったので、儲けも大きくなかった。この頃は、目の前に置かれた「バリュー投資」という手法をとりあえず本を読み読み勉強したが、身になったかというと、疑わしい部分も多かった。
それがこの不況を受けて、今、身になりつつ歩きがする。
その中で、ウォーレン・バフェット氏の短期投資に関する見方を、「麗しのバフェット銘柄 (ウィザードブックシリーズ 116)」の一文に見つけた。

効率的市場仮説は正しくもあり、また間違いでもある

 かつて一部の大学教授たちは、株価には全ての公開情報が直ちに織り込まれるので株式市場は効率的であり、それゆえに市場平均を上回るリターンをあげるのは不可能であると主張した。よってベストの投資法は、市場平均と連動するインデックスファンドに投資することである。これについてバフェットは、投資家の九五%は目先の利益を追求しているので、株式市場は短絡的にはきわめて効率的であると述べている。彼によれば、短期のマネーゲームではこれらの人々にはかなわない。
 しかし、これらの近視眼の人々は長期の投資戦略などはまったく持っていない。その証拠にわずか六ヶ月までの投機オプション市場では毎日何万枚ものもの取引が行われており、二年間の長期オプション市場の取引高は微々たるものである。バフェットの投資尺度によれば、二年でもまだ短期の投資スパンである(五~10年のオプション市場などは望むぺくもない)。バフェットのすごいところは株式市場は短期的には効率的であるが、長期的にはまったく非効率的であることを見抜いていたことである。したがって、彼は株式市場の長期の非効率さを利用する投資戦略を作り上げた。これがバフェット流の選別的な逆張り投資法である。

麗しのバフェット銘柄 (ウィザードブックシリーズ 116)」48p~49p

効率的市場仮説は、価格は収斂するんだよ、なんてことを言っているわけですが、短期的にはこれは正しいのだ、と言っている。これについては、ジョージ・ソロス氏が「再帰性」と言っている話も見え隠れする気がする。相場というのは完全な客観性において観察することが難しく、参加者は同時に影響を与える存在になりえるのだ、ということだ。逆に、参加せずに観察することも難しい。

価格表の無い世界

ウォーレン・バフェット氏に、ジョージ・ソロス氏の共通点のひとつに、一般理論として通用しない世界観があるという部分を上げてみたい。これは、ITの営業をしている中でも気づいたことだが、ビッグ・マネーが生まれるときというのは、後先が分からない世界、混沌とした世界観があるときだと思う。同じ相場、同じ銘柄をみていていても、彼らの見ている世界観は、彼らも含めてまだ誰も値付けができていない世界なのかもしれない。だからこそ、大きな金が生まれる。大きな金は、大きな期待や大きな失望の中で生まれることが多いとも思える。それが無くなり、一般理論が沢山生まれると、いわゆるコモディティ化してしまい、そこに関与する人々が増える。そういう後追い的な参加者に共通してみられるのは、確実性を求めるということだ。だから、相場は短期的には効率的な作用に左右されるのかもしれない。確実さを求めるあまり、そのように動く。

ITの営業をしていてい、なぜ気がついたかというと、ITベンチャーが大きく大きく儲けることができるのは極論すれば、彼らが値付けをできたからという点があると思う。まだ誰も何もしていない部分に飛び込んで新しい価値を示す。そのときに「これはいくらだよ」ということをいうことができた。これは、価格表の無い世界に価格表を作ったということではないだろうか。
ウォーレン・バフェット氏にしろ、ジョージ・ソロス氏にしろ、誰も見ていない世界で値踏みをするスキルがあるのではないだろうか。もしかすると、それは正解ではないかもしれないが、今となっては、ジョージ・ソロス氏の言うところの、「再帰性」の作用によって、効率的市場仮説の一端を担っているのかもしれない。

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